AIチャットボットで問い合わせを中心とした業務改善をおこないたいと考えているとき、困ることが様々な種類(タイプ)があること。
種類の違いによって業務のタイプで向き不向きがあります。
そもそもAIチャットボットはどのような仕組みで会話のような受け答えを可能にしているのでしょうか。
導入したい業種や業務内容にマッチしたタイプを理解して、業務改善に繋げましょう。
目次
チャットボットとは
チャットボットとは、つぶやきを意味する「チャット(Chat)」とロボットを指す「ボット(Bot)」を組み合わせた言葉。
自動的に会話のようにメッセージを返すプログラムのことです。
ECサイトや企業サイトのWebサービスやアプリなどで「質問はコチラから」のようなアイコンと共に画面右下に現れるサービスをご覧になったことがあるのではないでしょうか。
人工知能プログラムと自然言語処理技術が進化したことによって、より自然な会話ができるようになりました。
今まで以上に「ユーザーと企業」を結び付けるツールとして期待されています。
AI型を含むチャットボットの歴史や変遷
チャットボットの元祖は1960年代に開発された「イライザ(ELIZA)」と言われています。
イライザはあらかじめキーワードを登録し、それに対応する表現パターンと返答用のテンプレートを定義。
ユーザーが入力したキーワードが、事前に登録されたキーワードにあるかどうか検索し、あれば単語やフレーズを抽出、返答用のテンプレートに当てはめて答える仕組みでした。
2011年にアップルから「Siri」を搭載したiPhoneが発表され、AI(Artificial Intelligence=人工知能)が一般に知られるようになり、その後マイクロソフトやGoogleなども続き、AIスピーカーのようにチャットボットの仕組みを応用した製品も登場。
2016年にFacebookがイベントで発表したFacebook Messengerのチャットボット機能によって、AIチャットボットの普及が加速するようになりました。
チャットボットの種類|AI型・シナリオ型
チャットボットには大きく、AI型(一問一答型)とシナリオ型(ルールベース型)があります。
AI型はユーザーからの一つの質問に対して、AIが一つの回答を導くチャットボット。
AIによって人が話すような言葉、いわゆる自然言語によってユーザーの意図を理解して質問に答える仕組みを採用しています。
AIは機械学習やディープラーニング技術によって、統計的にも高い確率で正解の回答へ導きます。
シナリオ型はあらかじめ用意したシナリオ(脚本、筋書き)にそって会話を進めるチャットボットです。
質問者の意図に応じて質問の回答を分岐させることも可能。
事前にルールを決めておき、ルールに沿って会話を進めます。
AI型チャットボットのメリット・デメリット
AI型は自然言語の解釈に優れた特徴があります。
揺らぎのある質問にも対応できることがメリット。
デメリットはあらかじめ質の良い教師データが必要になることです。
AI型チャットボットのメリット
AI型チャットボットのメリットは複雑な質問に対応できること。
特に言葉の揺らぎ、例えば「ルール」と「規則」、「取り扱い」と「取扱」のように、意味は同じでも異なる表現の差を吸収できる点にあります。
利用者が入力する内容を学習データとして蓄積していくことでチャットボット自ら学習し、回答精度を高めていってくれる特徴もあります。
AI型チャットボットのデメリット
デメリットは、回答の精度を高めるためには大量のデータが必要になる場合があること。
質問に対する正しい回答をまとめたデータベース「教師データ」の質が悪いと、回答精度が上がりにくくなる場合があります。
シナリオ型チャットボットのメリット・デメリット
シナリオ型のチャットボットは、現在すでにお問い合わせページが充実しており、顧客満足度をさらに高めたいようなシーンにマッチします。
デメリットは想定している問答以外は正しい返答がしにくいことでしょう。
シナリオ型チャットボットのメリット
シナリオ型は事前に作成したシナリオに従って回答するタイプ。
例えばすでにFAQ(Frequently Asked Questions=頻繁に尋ねられる質問)があり、数多くのシナリオがある場合は構築が容易である点がメリット。
作成したシナリオ通りに回答するタイプなので、間違った返答することが起こりにくく、設定がシンプルなのでチャットボットをすぐに始めたいシーンに最適です。
AI型に比べるとコストも抑えやすくなっています。
シナリオ型チャットボットのデメリット
デメリットはシナリオに沿った回答しかできないこと。
多くの質問のパターンに対応させようとすると膨大なシナリオが必要になります。
言葉の揺らぎにも対応できませんから「ルールと規則」「取り扱いと取扱」それぞれで回答を用意するなどが必要です。
少しでもシナリオから外れると的確に回答できませんので、質問者の満足度を下げてしまう可能性があります。
AIチャットボットが会話に応じる仕組み
チャットボットは主に「アプリケーション」と「ボット」の2つのシステムを、API(Application Programming Interface=アプリケーションとプログラムを繋ぐ仕組み)で連携させることで動いています。
アプリケーションがユーザーの問い合わせを受け、ボットがユーザーの問いを解釈して返答を作りだし、API経由でアプリケーションに渡すことで、まるで会話をしているかのような受け答えになります。
アプリケーションとはWebブラウザやメッセージアプリなどを指し、ボットはチャットボットのプログラムの本体に位置づけられます。
「キーワード分析」「ルール・シナリオ」「データベース」の3つの要素が関連して会話に応じる仕組みになっています。
仕組み1. ユーザーが使うキーワードを分析する
まるで会話をしているように見える仕組みの一つ目は、ユーザーが問いかけるメッセージのキーワード分析。
ユーザーの質問に中から重要なキーワードは何かを分析し、搭載されるAIによって学習を繰り返すことでより正確な判断ができるようになります。
仕組み2. 回答のルールやシナリオを設定する
二つ目はルールやシナリオをサービス提供側が設定すること。
例えば「AにはBで返す」といったルールです。
シンプルなルールであっても、大量に準備しておくことで、複雑な質問に最適な回答を導き出せます。
キーワード分析と同様にAIの自動学習機能により、ルールやシナリオが追加されていき、より高い精度でやり取りができるようになります。
仕組み3. やり取りをデータベース化してAIに学習させる
サービス提供側がデータベースを充実させることも会話のようなやり取りには欠かせません。
返答した記録(ログ)を元にAIがデータベースを構築し、データベースが大きくなることによって、より正確な返答をおこなえるようになります。
チャットボットの仕組みに不可欠な4つの返答タイプ
チャットボットが返答するタイプを4つ紹介します。
- 選択肢を定めて稼働するタイプ
- 返答の記録であるログを活用するタイプ
- 登録した単語を使うタイプ
- 聞き役に徹するタイプ
などがあります。
1.選択肢タイプ
「Aという選択肢にはBと返答する」ような、用意される回答を選択しながら会話を進めていくのが選択肢タイプです。
このチャットボットの導入に向いているのは、ユーザーからの問い合わせ内容や、問い合わせに含まれるキーワードが、ある程度予測できるサービスを取り扱っている業種。
例えば、決まった情報を使い商品を提案するような金融などです。生年月日、生別などの固定的な情報を入力し、その内容から月々の保険料を算出するような業務の返答にマッチします。
2.ログタイプ
「Aという選択肢には、Bと返答するケースが多い」のようなことを過去の会話ログに蓄積してデータベース化し、過去の内容に近しい質問を元に返答するログタイプ。
稼働時間が延びるほどに精度を高めることが可能です。
逆に会話ログが少ない状態だと精度が低くなります。
このタイプの導入に向いているのは顧客から様々な種類の問い合わせがあるような、例えばホテルの宿泊予約や航空チケット予約販売などが想定されます。
3.ハッシュタイプ(辞書タイプ)
あらかじめ特定の単語を登録し、登録した単語をベースに会話を進める辞書タイプ。
質問者の問いかけた会話のキーワードと返答が合致しやすいことがメリットです。
デメリットは膨大な数の単語、およびテンプレートが登録された辞書を作成しなければならないこと。
このタイプの導入に向いている業種は小売業で、ECサイトなどにおける注文方法や注文後の変更方法、領収書の発行、配送料の見積もりなど、ある程度質問される項目が見えている業種がマッチします。
4.イライザタイプ
世界で最初に開発された自動会話システムにちなんで呼ばれる、イライザタイプ。
質問者の問いかけに対して、相づちや質問の要約を聞き役として返答します。
AIによって聞き役としての役割以外にも質問を返すことが可能になってきているため使い勝手が高まっています。
導入に向いている業種は聞き役としてのスタンスがマッチする恋愛や結婚相談サイトなどのコミュニケーション主体のサービスです。
AIチャットボットの仕組みを理解して業務改善しよう
AI型チャットボット、シナリオ型チャットボットの違いや、仕組みについて紹介しました。
返答の仕方による違いでも業種ごとにマッチするタイプがありますので、チャットボットにどのような対応をさせたいのかをあらかじめ見定めて検討するようにしましょう。
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