業務の中で得られる「ナレッジ」は個人が蓄積していくものです。
個人が持っているナレッジを社内で共有できるとたくさんのメリットが得られます。
実際に多くの企業でナレッジ共有を開始したことで、業務改善やパフォーマンスの向上を達成していることから、ナレッジ共有の重要性が高まっています。
しかしナレッジ共有の意味や目的を理解していなければ、闇雲に導入してもうまくいきません。
では、どのようにナレッジ共有を進めていけばよいのでしょうか?
この記事ではナレッジ共有とは何か、メリットや必要性を含めて導入方法を解説します。
目次
ナレッジ共有とは?

まずはナレッジの定義や種類を説明し、ナレッジ共有について解説します。
ナレッジの意味と2つの種類
英語の「knowledge」は日本語に訳すと「知識」を意味します。
企業活動においては知識だけでなく、企業などの組織にある有益な経験・事例・ノウハウなど付加価値のある情報全般を指します。
ナレッジには「暗黙知」と「形式知」の2種類があります。
暗黙知
明確に言葉にしたり、人に伝えたりが難しいとされる知識のことで、個人的・特定の文脈に依存し、感情と密接に結びつきます。
- 個人の行動
- 身体的な経験
- 主観的な直感・理想
に深く根ざした知識のことです。
分かりやすく言うと、社員一人ひとりが業務の中で身につけた長年の経験やノウハウ・テクニックを指します。
形式知
言語化できる知識で客観的にとらえられ、言葉や構造をもって説明や表現ができる知識です。
容易に
- 文章化
- 言語化
- 視覚化
- 数値化
- マニュアル化
が可能で、見える化された情報や知識のことです。
暗黙知と形式知の違いは、見えるかされているか、されていないかです。
暗黙知をうまく形式知に落とし込めれば、ナレッジ共有はスムーズにできます。
ナレッジ共有における基本的な考え方
ナレッジ共有とは、企業活動で必要なナレッジを個人レベルの保有だけでなく、組織に属するチーム・部署・会社間で共有することです。
企業で用いられているナレッジ共有の例は、
- マニュアル
- 研修資料
- 事業方針資料
- 議事録
- 社内用語資料
などです。
企業活動に関わる個人の知識や情報を組織的に集め共有することで、効率化し、価値を生み出すメリットがあります。
高度な知識を生み出し、組織全体を知的に進化させ、価値総出力を高めようとすることがナレッジ共有の基本的な考え方です。
企業が抱える問題を解決に導くナレッジ共有の必要性

近年、働き方は大きく変わり、企業における組織のありかたも大きく変化しています。
それに伴い企業が抱える問題も新たに発生しています。
いくつかの企業の問題はナレッジ共有の活用で解決に導くことが可能です。
人材の流動性による業務の属人化の弊害
これまで日本の企業の多くで採用されていた終身雇用制度が当たり前でなくなり、一つの会社で定年まで勤め上げる働き方だけではなくなっています。
人材の流動性が活発になると、ある業務について唯一知っていた社員が退職してしまう属人化も発生します。
属人化とは、担当従業員がいないために、その業務を進められなくなることです。
働き方の多様化が政府により推奨され、
- リモートワーク
- 在宅勤務
- フレックス制
など決まった時間にオフィスに全員がいないことが増えるでしょう。
気軽に隣の人に聞く、部内に問い合わせるなど、これまで当たり前にできていたことが難しくなります。
業務効率化を促進する動きが高まっている
業務効率化は働き方改革の根幹で、残業時間の減少が推奨されています。
時間がかかる作業をなるべく減らしながら、生産性を維持できるかが、今後企業が生き残っていくための鍵となるでしょう。
社員の関係性・信頼関係の悪化
複数の部署や社員が関わるプロジェクトでは、スムーズに情報共有できている必要があります。
特定の社員間でしか情報が共有されていなければ、不信感が生まれ、信頼関係が悪化するでしょう。
信頼関係の悪化でさらに情報共有がしづらくなり、ますます悪化する負のループが生まれてしまいます。
またナレッジ共有されないことで、社員のスキルアップができない環境も作られます。
ナレッジ共有の7大メリット

次にナレッジ共有により、どのようなメリットが得られるかを見ていきましょう。
企業が抱える問題をナレッジ共有により解決できる場合があります。
働き方の多様化に対応しやすくなる
働き方が多様化したことや、コロナ禍による環境の変化でテレワークが浸透しつつあります。
働く場所がバラバラだと、近くにいた社員に気軽に質問や問い合わせをすることが難しくなります。
ナレッジ共有ができれば、気軽な質問もすぐ解決でき、働き方の多様化に柔軟に対応できるでしょう。
業務の属人化を防げる
業務の属人化を防ぐことで、業務の効率化を期待できます。
担当者が病気で不在だったり、退職してしまった場合に、問い合わせに答えられる人を探すまで業務を開始できません。
ナレッジ共有ができていれば、担当者が不在で業務が進まない事態を避けられます。
社内情報の連携がスムーズにできる
ナレッジ共有をすれば、スムーズに情報連携ができます。
社内の部署間、社員間で情報のスムーズな連携はとても大切です。
同じプロジェクトに在籍しているのに、自分だけ情報を知らされていなければ不信感を抱くでしょう。
また、社内のコミュニケーションが活性化する働きもあります。
業務の垣根を越えた連携で、今まで想像もできなかったアイデアが誕生するかもしれません。
成功・失敗例など経験を蓄積できる
様々なプロジェクトを通して、成功した事例もあれば失敗した事例もたくさん出てきます。
結果に至った要因を分析し、次回以降の活動に活かせます。
経験事例の共有はこれまで気づかなかった要因や改善点の発見につながり、成功事例の蓄積は共通点を見出すことで、今後の活動の成功を増やせるでしょう。
業務の効率化ができる
ナレッジを蓄積して、共有することで、業務効率化もできます。
例えば、会議内容の前提知識を事前に共有できれば、時間の短縮につながるでしょう。
また、1つのところにナレッジを集約することで、情報を探す時間の短縮になります。
業務の効率化の積み重ねの結果、企業全体のパフォーマンスの向上につながります。
社員のレベルアップにつながる
ナレッジは再現性が高いため、教育のスキルや経験とは関係なく社員のレベルアップが期待できます。
優秀な社員のナレッジを共有できれば、自ずと会社自体のレベルも上がるでしょう。
また、急に担当者の変更があっても、ナレッジがあれば業務の質を下げることなく引き継ぎが可能です。
教育コストの削減ができる
新入社員研修や部署異動などで新しい業務の教育は時間やコストがかかります。
社内に蓄積されたノウハウやスキルをナレッジとしてマニュアル化して共有できるため、社員教育の時間や新たな資料作りの経費などのコスト削減が可能です。
教育に力を入れるあまり、通常業務が進められない状態もなくなるため、効率よく人材の育成ができます。
ナレッジ共有を習慣化させる4つのSTEP

実際にナレッジ共有の仕組みを自社に取り入れた企業は多くあります。
ナレッジ共有システムを一から自前で作ることは難しいため、ナレッジ共有ツールの導入が一般的です。
ツールを導入しただけではナレッジ共有はうまくいきません。
うまく活用させるために、ナレッジ共有がスムーズにおこなえるシステム作りをしていきましょう。
ナレッジ共有のために、ツールを導入したいと考える方は「ナレッジ共有ツールおすすめ16選を選び方と併せて目的別に紹介」を参考にしてください。
STEP1.社内で課題意識を持つ
ナレッジ共有は一人ではできず、社内全体や部署単位で共有しなくてはなりません。
周囲の利用を促進させるために、まずは社内や部内の現状の課題意識を持ちましょう。
例えば、
- 属人化が起こっている
- 資料が散在している
などです。
課題を洗い出してみましょう。
STEP2.ナレッジ共有によるメリットの周知
課題意識を持つことと共に重要なことは、ナレッジ共有のメリットを周囲に伝えることです。
この記事で取り上げたナレッジの7大メリットを核に、課題に見合うメリットを探してみてください。
ナレッジ共有のメリットを周知し、社員の利用のモチベーションを高めましょう。
STEP3.ナレッジの作成を促進させるための仕組み作りとツール活用
ツールを活用して多くの有益なナレッジを作成してもらいましょう。
作成が活発になるほどナレッジ共有はよりよいものになります。
そのためには具体的な利用シーンをルールで定めると良いでしょう。
例えば、
- 部内会議の議事録を残す
- 社内システムの使用法をマニュアル化する
などです。
また、企業が重宝するナレッジを持っている社員は優秀である場合が多いですが、多忙であるためナレッジ作成に時間がとれなかったり、他の社員に知識の提供をすることが面倒だと感じたりする人もいます。
このような人にも作成してもらえるよう、モバイル端末でも書き込めるツールは使いやすいものを選びましょう。
過剰な成果主義をやめて、人事評価の見直しをするなどの仕組みづくりも必要です。
STEP4.積極的に社内で活用する
積極的に社内で活用してもらうために、現場の人間にもツールの操作性を確認してもらいましょう。
実際に使用してもらうことでナレッジ共有のメリットをイメージしやすくなります。
ナレッジが貯まり、共有が進み、サイクルが回っていかないとナレッジ共有のメリットは認識しづらいでしょう。
また、運用方法も確立させておく必要があります。
定期的に更新して見直し、新たな項目を付け加えたり、古い内容や間違っている箇所は修正します。
まとめ:ナレッジ共有して従業員一人ひとりの知識を活かそう!

この記事ではナレッジ共有についての解説と、ナレッジ共有の重要性やメリットを紹介しました。
一人ひとりが業務で得たナレッジを部内や社内に共有すると、多くのメリットが得られることが分かったと思います。
課題や目的を明確にし、ナレッジ共有のメリットを把握しましょう。
ツールは使いやすいものを導入し、ナレッジ作成が促進されるような習慣化の仕組みが重要です。
定期的な見直しをおこないながら、利用が活発になるようにしましょう。
個人の小さなナレッジでも、たくさんの社員の共有でとても大きな力になります。
ぜひナレッジ共有の仕組みを導入してみてください。
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