従業員の労働環境を整える上でも業務効率化の推進は必要不可欠です。
効果的に業務を効率化し、個々の生産性が高まれば、従業員の働く環境も改善し、ワークライフバランスを整え、働き方改革に繋がります。
働き方改革が成功すれば、従業員のパフォーマンスが上がったり、様々なコストが削減できたり、企業へのメリットもたくさんあります。
今回は業務効率化と働き方改革の関係と、実践できる具体的な方法を解説します。
目次
働き方改革とは?

働き方改革とは、政府が進める「一億総活躍社会」の実現に向けた取り組みで、起業の労働環境を見直し改善していくことです。
厚生労働省のホームページでは、働き方改革について、“働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指す。”と明示されています。(参考:働き方改革の実現に向けて|厚生労働省)
具体的には主に、以下の内容が挙げられます。
- 長時間労働の是正
- 正規・非正規雇用の格差解消
- 多様な働き方の実現
働き方改革は、大企業に限らず中小企業でも求められている対応です。
一人一人のパフォーマンスを効率的に上げるためにも、従業員の労働環境を見直し、改善はどの企業においても非常に重要だと言えます。
働き方改革の目的
そもそも働き方改革の目的とは何なのか?
一番には「労働者にとっての働きやすさの実現」です。
労働と生活は切っても切り離せない関係であり、それぞれのライフステージやライフスタイルに合わせた労働は、生産性やパフォーマンスを高め、働く意欲に繋がります。
意欲的な労働は、会社の生産性を高め、ひいては国の生産性を高めます。
働き改革は、個々の国民を含めた、日本企業・日本国全体の生産性を効率的に高めることが目的です。
働き方改革が求められる背景
働き方改革が求められる背景には以下のような内容が挙げられます。
- 少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少
- 労働生産性の低下
- 長時間労働や過労死の問題
- 育児や介護との両立など働く人のニーズの多様化
公的なデータによると、日本人の労働者一人における1時間当たりの生産性は、先進国の中でも特段に低いことが指摘されています。
一人ひとりの生産性が低いにも関わらず、少子高齢化によって働ける年齢の人口も減っています。
これらを踏まえると、“短い時間で個々の生産性を上げる”ことが急務だと言えるでしょう。
また日本の長年の習慣や風習もあってか、プライベートを犠牲にしてでも労働時間に充てるといった風潮が現代でもよく見られます。
この長時間労働は、私生活を有意義に過ごせないばかりか、精神的苦痛を強いられたり、過労死してしまうなど社会的に大きな問題となっており、早急な解決策が必要です。
人々は労働だけをして生きているのではなく、高齢化社会に伴う介護や、育児などライフステージに合わせて仕事と両立すべきことを抱えています。
私生活を維持しながら労働するには、それぞれの事情に合わせて、不平を感じることなく仕事や仕事の仕方を選択できる環境が整っているべきなのです。
業務効率化と働き方改革の関係

業務効率化は、仕事のあらゆる無駄を省き効率的にハイパフォーマンスな仕事を目指すことで、働き方改革を実現するための一つの手段です。
業務効率化が叶えば、働き方改革が完璧というわけではありません。
本質的な意味で働き方改革を実現するには、業務効率化に限らず、様々な観点から労働環境を精査し、改善が重要です。
しかしながら業務効率化の実現は、労働時間の削減や働き方の多様化にも繋がり、働き方改革にも大きく貢献できると言えます。
効果的に業務効率化を実現するためには、しっかりとした計画と実行が重要です。
業務効率化の具体例7つ

実際に業務効率化を目指すためには、どんな方法が考えられるのでしょうか。
具体的な方法とその効果を考えます。
無駄な業務をなくす
習慣やルーティンでおこなっている仕事でも、よくよく考えると必要性が高くない業務が存在することもあり得ます。
定期的におこなっている会議や作成している資料、必ずおこなっている作業など、本当に必要な業務なのか定期的に考え直すことも重要です。
作業自体をなくしたり、回数を減らしたりすることで、それに関わる業務時間を削減できます。
自動化・システム化する
繰り返しおこなう単純作業などの自動化で、手作業で作業するよりも圧倒的に時間を削減できます。
昨今は、様々なITツールがたくさん存在しています。
実際の仕事と照らし合わせながら、自動化できる仕事は、システムやツールの導入を検討しましょう。
特に頭を使わない単純作業は自動化するべきです。
単純作業をシステムに任せることで、人的リソースをもっと複雑な作業に充てられます。
多少の費用が必要になることもありますが、それでも従業員の作業時間を削減し、頭を使う仕事に専念させられることの方が、より大きなメリットと言えるでしょう。
また人為的なミスを減らせる場合もあります。
情報をクラウド化する
情報を属人化せず、誰でもアクセスできるようクラウド化しておくことで、特定の人に頼る業務環境を改善できます。
その人がいないと仕事が進まない状況を回避できるため、作業の滞りを防ぎます。
情報やファイルのクラウド化で、どこにいてもアクセスできる状態を整え、オフィス以外でも作業が可能です。
また紙媒体の電子化も、業務効率化に効果的です。
これまで紙媒体を保管・管理していた時間を削減できるのはもちろん、どこにいても情報を確認できるようになり、作業効率が上がります。
マニュアルを作成する
業務のやり方やフローを人づてに教えている場合、教える人の時間が大きく割かれてしまいます。
読めば誰でも理解できるような業務内容は、マニュアルにまとめ、ある程度は一人でも学習できる環境を整えましょう。
わからない時にアドバイスをしてあげる流れにしておけば、教える側も付きっきりになる必要がありません。
教育時間を減らし、他の業務に時間を充てられます。
新人教育もシステム的かつ効率的に進められるようになるでしょう。
生産性や品質のばらつきを整える目的でも有効です。
コミュニケーションの円滑化を図る
従業員同士の円滑なコミュニケーションは、業務推進に必要不可欠です。
どこにいても気軽に連絡を取り合える環境を整備しましょう。
メールや電話はもちろん、チャットツールの利用も有効です。
口頭での情報伝達はどうしても時間が取られてしまいます。
チャットツールであれば、双方の時間を削減しながら情報伝達が可能です。
また大勢の人に同じ情報を伝えたい場合には、グループチャットも非常に有効です。
確認や相談を気軽におこなえれば、作業状況もわかりやすく把握でき、トラブルに対してもすぐに対処ができます。
アウトソーシングする
人に任せられる仕事はアウトソーシングするのも一つの手です。
特に単純な作業や人手が必要な作業などは、アウトソーシングすべき業務といえます。
また専門的な知識や技術が必要な仕事を無理して内製するよりは、アウトソーシングした方が効率的に作業を進めることができ、ノウハウも手に入れられます。
適切なアウトソーシングをおこなえば、仕事のクオリティを保ちながら、自社従業員の時間を確保できるでしょう。
自社従業員がおこなうべきである事業やブランド・商品などに深く関わる仕事に専念させましょう。
テレワーク環境を整備する
オフィスでしか仕事ができないとなると、何をするにも出社や帰社が必要になってしまい、移動時間が無駄になる場合も。
オフィス外でも作業できる環境を整えることで、従業員は移動時間や隙間時間を無駄なく使えます。
最近ではオンライン会議も一般的になってきたため、しっかり活用できれば、出張や外出も会議に縛られることなくスケジューリングが可能です。
テレワークの整備は、柔軟な勤務時間を実現できるため、ワークライフバランスを整える目的でも非常に有効です。
業務効率化で働き方改革に成功した事例

業務効率化の推進で、実際に労働環境を改善できた企業はたくさんあります。
事例を確認し、自社の業務効率化に活かしましょう。
ロボットによる業務自動化による生産性の向上
<取り組み内容>
・外部からの照会に対して素早く回答するため、AIを使って情報抽出をおこなう
・エクセルVBAを活用したロボットを400個開発し運用
・経理や保険金支払い部門にてRPAを導入
<結果>
約1,200時間/月(14.4万時間/年)の労働時間削減を実現
「三井住友海上火災保険株式会社」は、様々なオートツールを使用して、業務にかかる時間を削減した企業です。
業務の自動化と合わせて19時前退社ルールや在宅勤務の整備など、多角的な取り組みをおこなっています。
働き方改革を推進するための社内広報やツールづくりにも力を入れており、個々の意識改革を積極的におこなったことも大きい影響を与えています。
従来の建材やツールの見直しと人材育成プログラムで労働環境を改善
<取り組み内容>
・シンナーなどの有機溶剤作業を臭気の少ない水性塗料へ切り替えた
・一流の職人育成を目指す独自のトレーニングプログラムを実施
・塗料の軽量化や運搬作業の自動化
<結果>
・臭気のため夜間におこなっていた作業が昼間も可能になったため、休日・夜間出勤や残業が激減し、60%のコストカットに
・人材を短期間で戦力化し、技術の高い施工が提供できるようになり収入UP
・搬送時間が従来の40%弱に軽減
「株式会社KMユナイテッド」は、当たり前に使われていた建材やツールを見直し、業務効率化に成功しました。
建材やツールの見直しが、間接的に作業可能な時間を変え、結果的に残業や夜間勤務の削減に成功しています。
人材育成や労働環境整備にもかなり力を入れており、個々の技術も重要な建設業において、技術の平均化と人材の定着を実現している良い例です。
上記事例の詳細やその他の企業の事例は、厚生労働省の「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」で確認できます。
まとめ:目的をきちんと意識して業務効率化の施策を考えよう

業務効率化を目指す上では、現在の労働環境の問題や業務内容の課題を踏まえた上での対策が必要です。
現状を把握せずに施策を実施しても、効果的な成果は得られないでしょう。
一見直接的に業務効率化に繋がっていないように見えても、間接的には生産性や業務時間の削減に大きく貢献している場合もあります。
明確な目的意識を持って対策を考えることが、業務効率化の実現に必要不可欠です。
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