社内から問い合わせが頻繁に来る部署で働いている方は、同じような質問に何度も答えていくうちに時間を取られ、他のタスクが消化できなかった経験はありませんか?
実は、社内FAQを導入すれば、時間が取られることを防げます。
社内FAQと言われても、イメージがつきにくいですし、どのような効果が期待できるのかイマイチ分かりにくいと感じるかもしれません。
ここではいくつかの具体例を成功事例・失敗事例ともに紹介しながら、活用方法を見ていきましょう。
社内FAQの検討や導入の参考例にしてください。
目次
社内FAQとは?
FAQとは「Frequently Asked Questions」の頭文字の略称で、よくある質問と回答をセットにしたものです。
企業サイトの「よくある質問」ページや、ECサイトなどに設置されることが多いFAQですが、社内向けの問い合わせ対応や、社内ポータルの質問集にも活用できます。
社内FAQを導入する3つのメリット
まずは、社内FAQを導入することで得られるメリットを3つ見ていきましょう。
1.担当部署の業務負担を減らせる
社内FAQの導入で、担当部署への電話やメールでの問い合わせを減らせます。
簡単な質問や問い合わせでも、質疑応答のたびに時間を取られると、本来取り組むべき業務に支障が出てきます。
あらかじめまとめておき、社内ポータルなどで検索する仕組みを整えておくことで、社員自身が自分で解決できます。
自分で解決できれば問い合わせの必要が無くなるため、電話やメール対応の業務負担を減らせます。
2.ナレッジを貯められる
社内FAQのコンテンツに共有すべき情報をノウハウやナレッジとして蓄積可能です。
さらにはナレッジを共有することで、業務の属人化を防げます。
属人化とは、特定の業務をいつも同じ社員が担当することで生じる問題で、その社員が休んだり退職してしまったりすると、誰も対応できなくなることです。
例えば、社内FAQを活用したノウハウやナレッジは以下のような使い方ができます。
- 社内システム上の申請の手続きの進め方
- 業務効率化を目指すためのちょっとした工夫の共有
- 新入社員や部署を異動したばかりの社員への教育資料
社内FAQの導入で、対応方法がノウハウとして文章化されることによりナレッジが蓄積できるのです。
3.いつでも回答できる
社内情報へアクセスしやすくなるので、何か困ったことが発生したら社内FAQを見れば解決できる環境を整えられます。
分からないことがあり、問題が発生しているにもかかわらず、担当者が不在の理由で解決までに時間がかかると、社員の不満が溜まるでしょう。
社内FAQの環境があれば、担当者が不在の場合や、夜間・休日であっても回答が得られ、社員満足度の向上につながります。
社内FAQ活用事例3つ
社内FAQを導入し、活用に成功した事例を3つご紹介します。
どのような課題を抱えていて、導入したことによってどんな効果が出たのかをまとめました。
導入や運用の際に参考にしてください。
事例1.サッポロホールディングス株式会社
「サッポロホールディングス」は、サッポログループのグループ本社で、人事・総務・経理などの間接部門機能が集約されています。
業務を集約して、効率化、高度化、内部統制を強化することを目的としています。
企業が抱えていた課題
サッポロホールディングスは、労働生産性の上がらない理由の一つに、社内の問い合わせ対応の多さがあり、間接部門の業務の3〜4割占めています。
また属人化も課題であり、ベテラン社員が退職した後に必要なナレッジがそのままなくなってしまう懸念もあありました。
FAQを導入したことで起きた変化
サッポロホールディングスが導入したのは、知識やノウハウ、マニュアル、Q&A、引き継ぎ資料などを格納するFAQデータベースと、AIチャットボットの組み合わせです。
質問を受けた人がデータベースの登録作業をおこなうことは負担が大きいため、メールで内容を送ってもらい、FAQプロジェクト側で登録。
また、FAQシステムの専門ベンダーのもつノウハウを吸収して、利用者目線で作り、専門用語で検索に引っかからないよう工夫しました。
導入によって、45%の問い合わせが人手を介することなくAIチャットボットから回答できました。
FAQの検索時間は平均で3分ほどでしたが、30秒の時間短縮に成功しています。
【参考】業務の1/3は問い合わせ対応という間接部門の悩み――、社内FAQとAIチャットボットで解決したサッポロの取り組みを見る|クラウドwatch
事例2. 住友林業情報システム株式会社
「住友林業情報システム株式会社」は、住友林業株式会社の子会社として、住友林業グループ全体の情報システムを手掛けています。
ICTビジネスサービス部ユーザーサポートグループでは、住友林業グループ企業全体の1万人以上を対象としたヘルプデスクサービスをおこなっています。
企業が抱えていた課題
ヘルプデスクへの問い合わせ件数は、年々増加し内容も複雑化しています。
対応する問い合わせは、個別かつ複雑なもの多いので、対応時間の増加が課題でした。
FAQを導入したことで起きた変化
すべての問い合わせをFAQで解決するのではなく、人が対応するものとFAQサイトで対応するものを分業しました。
なぜなら、個別で複雑な内容の問い合わせは、FAQシステムでは処理しきれないためです。
FAQサイトへ登録するルールは、
- 誰が質問しても回答が同じになる
- 回答の内容が恒久的に変わらない
を設けています。
運用開始後もFAQの登録ルールを明確にして、基準に沿ったものを追加しています。
ブラウザのバージョンアップなどのイベント時の問い合わせが、想定の2,500件からFAQ公開で1,200件にまで半減しました。
また、電話応答率の目標80%を下回ることなく達成できています。
【参考】イベント時の想定電話問合せ2,500件がFAQ公開で半分以下の1,200件に|アクセラテクノロジ
事例3.さくらインターネット株式会社
インターネット関連サービスを手掛ける「さくらインターネット株式会社」でもFAQシステムを導入しています。
企業が抱えていた課題
課題は、社内からの問い合わせの回答までに時間がかかっていて、ナレッジがまとまっていませんでした。
導入前は、管理本部で問い合わせ対応をする社員が一人あたり一日5件、それぞれの対応に平均で5分かかっており、業務が進まない問題がありました。
FAQを導入したことで起きた変化
FAQシステムの整備によって、同じような質問はFAQのナレッジ蓄積を進め、社員自身に解決させるよう工夫しています。
回答業務の際もFAQ活用で、対応時間の短縮化を実現しました。
導入後の社員アンケートの結果では、約600人いる社員の自己解決率を50%向上させ、管理本部でも問い合わせが減ったと実感した社員が7割にのぼるなどの効果を見せました。
【参考】社内FAQを見直して、社員の自己解決率アップ。働き方改革が実現!|PR TIMES
社内FAQの失敗例3つから学べること
社内FAQを導入しただけではうまくいきません。
ツールを導入すれば、何もしなくても自動的に問題を解決してくれる訳ではないからです。
社内FAQの導入が失敗してしまう時はいくつか共通することがあります。
例をいくつか見ていき、失敗から学びましょう。
失敗例1.コンテンツ作成に時間がかかり充実しない
一つあたりのコンテンツの作成に時間がかかり過ぎてしまうと、公開するまでに必要な量のFAQを揃えられず、サイトが充実しません。
FAQコンテンツページの体裁をある程度見やすく統一することは、使い勝手を高めるためには必要なことです。
しかし、文字色やレイアウト、などを気にしすぎると時間がかかってしまいます。
スムーズに作成するためのルールを制定して、それに則って作りましょう。
例えば、作成時に必要なテンプレートや表記ルールなどを作っておくと役立ちます。
失敗例2.社内FAQの情報が古いまま
FAQコンテンツには「消費期限」があることを意識しましょう。
社内FAQ導入の際にコンテンツを作成してから、業務内容が変わっているのにも関わらず、コンテンツは更新されていないと、情報が古く使う人が減ってしまいます。
情報を追加したあとでも、しっかりと管理して更新を続けていくことが重要です。
情報に誤っているところはないか、最新の情報であるか、という観点から定期的な更新を心がけてください。
情報が古いままになってしまう状態を避ける方法の一つに、FAQシステムに関わる人が簡単にリアルタイムで情報を編集する機能を持つツールを活用することが挙げられます。
更新ルールを設定しておくとスムーズに対応が可能です。
失敗例3.社員が使用しない
社内FAQは社員に使われてこそ効果を発揮し役に立つものです。
社員に使ってもらえなければ、社内FAQの利用価値はなくなり、ノウハウの収集や更新に必要なフィードバックも得られません。
使ってもらうためには次の2点を意識しましょう。
- 探しやすいレイアウト
- 情報量
検索しやすく、タイトルやタグ付けなど情報整理がされていることが望ましいです。
またITが苦手な人でも誰でも手軽に使用できる設計がよいでしょう。
「情報はどこかにあるはずなのに、フォルダが複雑すぎて見つけ出せない」
「キーワード入力しても候補が大量に出てきて、求める内容にたどりつくまでに時間がかかってしまう」
このようなことになると、社内FAQを使うよりも、直接電話で問い合わせた方が早いとなってしまい、使ってもらえなくなります。
また情報量が少なくても、求める答えを探せず、今後社内FAQを使ってくれなくなる可能性も高くなります。
情報量は多すぎても少なすぎても使えないため、掲載する内容の精査は重要です。
社内FAQ活用のための作成工夫例
社内FAQを活用するために作成のときに工夫できる例をいくつか挙げていきます。
取り入れられる部分は参考にしてください。
コンテンツの工夫例
コンテンツは分かりやすさが求められます。
一度読んだだけで内容が頭に入ってくる文章を目指してください。
以下のポイントを気をつけることで、読みやすいコンテンツになるでしょう。
- 言葉遣いを統一する
- 情報量が多くなる場合は、箇条書きで記載しておく
- 参考ページURLの挿入や、関連FAQと紐付ける
- 画像や動画も必要ならば入れる
レイアウトの工夫例
社員を誘導できるレイアウトの工夫例には以下のものがあります。
- FAQへの入り口は見つけやすい所に設ける
- よくあるFAQをあらかじめ提示する
- 検索ボックスをトップページに置く
- 検索結果を絞って、回答にたどりつきやすくする
入り口を明確にすることで、社員も見つけやすくなります。
よくある質問はあらかじめ提示すると、検索せずに済みます。
また、社内ポータルなどのトップページに検索ボックスを設置することで、検索された状態で社内FAQへ誘導でき、利用者は増えるでしょう。
また「情報がどこかにあるのに探しにくい」「回答が表示されるまで長い」という不満には、検索結果を絞ることが有効です。
検索結果の絞り方の具体例には以下のものがあります。
- カテゴリごとの表示
- タグをつける
- チャットボットを活用する
このように情報を構造化して、ある程度の分類でまとめておくと回答が探しやすくなります。
まとめ:社内FAQは成功・失敗事例を参考に始める!
この記事では社内FAQの導入成功事例や、失敗事例をいくつかご紹介しました。
それぞれの事例から学べることがあり、自社への導入に役立つ気づきが得られるでしょう。
これらを参考にチャットボットやFAQシステムの導入を検討してみてください。
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