社内の制度や申請方法が分からない時は、担当部署へ電話やメールで問い合わせると思います。
しかし、問い合わせたいのに該当部署への電話が一向につながらないことはありませんか?
問い合わせを受ける側にとっても、社内から毎日同じような問い合わせにに対応してうんざりした経験がある方もいるのではないでしょうか?
チャットボットを社内に導入することで、これらの不満が解消できます。
チャットボットを社内の問い合わせ対応に活用し、成果を挙げている企業が多数あります。
そこでこの記事では、成功した事例と失敗事例から学べることを解説。
この記事を参考に、事例から導入時に気をつけることを学んでいきましょう。
目次
チャットボットを社内問い合わせに導入する3つのメリット
チャットボットはECサイトやカスタマーサポートでよく使われる、対話形式での自動会話プログラムです。
人間に問い合わせをする感覚で簡単に回答を探せ、検索の負担を減らせることが大きな魅力です。
まずはチャットボットを社内向けに活用するとどんなメリットが得られるか詳しく見ていきましょう。
メリット1.社内ヘルプデスクの業務効率化
社内ヘルプデスクには様々な質問が寄せられます。
ヘルプデスクを置いていない企業でも、
- 経理
- 人事
- 情報システム
などの部門には日々社内のいたるところから問い合わせが来ているのが現状です。
ほとんどは同じような質問であり、何度も同じ問い合わせに忙殺され、他の仕事に手が回らなくなってしまいます。
チャットボットを活用すれば、頻繁に問い合わせが来る質問をあらかじめ分析し、回答シナリオを整えておくと、チャットボットが社員に代わって回答します。
チャットボットが対応中、人は個別の対応や、複雑な内容に時間をかけられます。
ヘルプデスクに在籍する社員にとって業務効率化ができますが、問い合わせをする社員にとっても自分で回答をすぐに見つけられれば時間の節約になり双方にメリットがあるでしょう。
メリット2.社内ナレッジが蓄積される
特定の社員にしか、申請方法やシステムの使い方を理解していない属人化は、その社員がいなくなると誰も対応できなくなる懸念があります。
ノウハウや社内情報を一元化して整理し、明文化することで社内ナレッジを蓄積できます。
さらに社内からの問い合わせをチャットボットに集約することで、よくある質問は何か、どんな疑問を持っているのか分析できるでしょう。
チャットボットは気軽に質問できる特性から、問い合わせされやすい質問の傾向をデータで把握しやすくなります。
データを元にルールやマニュアルを再度修正すれば、問い合わせ自体を減らすことも。
ナレッジは属人化の防止の他に社員教育に活用できます。
メリット3.いつでもすぐに回答がもらえる
チャットボットの導入で、いつでも回答が得られる環境が作れます。
対して社員が対応すると、業務時間内でしか回答できません。
業務に関しての不明点がすぐに解消されないと、仕事が進められず生産性の低下につながります。
チャットボットは、テレワークや在宅勤務の働き方の変化にも大きく貢献し、時間や場所を選ばず柔軟な対応が可能です。
24時間365日いつでも対応可能で、業務時間外や休日であっても問い合わせをするタイミングを気にする必要がありません。
チャットボットを活用した導入事例を6つ紹介
チャットボットを社内向けの問い合わせに活用した企業の実際の導入事例を6つご紹介いたします。
事例1.カルビー株式会社
食品大手の「カルビー株式会社」は、社内問い合わせの窓口をAIチャットボットに置き換えて、「人に聞く」から「AIチャットボットに聞く」に流れを変え、業務時間の削減につなげたいと考えました。
社内データベースにFAQを蓄積していたものの、存在を知る人が少なかったり、そこまでたどりつけないことが多く、利用されていなかった問題がありました。
そこでチャットボットの導入目的を「社内だけでなく社外でも顧客対応できるもの」にしました。
社内利用をおこない、ゆくゆくは社外での利用を考えていたためです。
上記以外にも以下のような条件を挙げました。
- 学習するコストがかかってもきちんと答えられる
- 会話フローを組めるシナリオ型
- 価格も試しやすい
- 管理画面がわかりやすい
このように社内での活用方法や条件をあらかじめ検討しておくことで、ツールのコストや機能をいくつか比べながら最適なものを選択できます。
選択肢も自ずと狭まってくるため、自社に合ったものを選びやすくなるメリットもあるでしょう。
【参考】社内のよくある質問を人からAIチャットボットで対応時間を削減|kuzen
事例2.横河レンタ・リース株式会社
PCやタブレット端末などのレンタル事業を手掛ける「横河レンタ・リース」は、約1,000人の社員を3〜5人体制のヘルプデスクで対応しています。
電話の問い合わせは一日あたり平均で30件以上で、メールも含めると50件を超えることもありました。
同じような質問に何度も答えている状況だったため、淡々とした処理に問題は感じていません。
しかし担当者の貴重なリソースが、対応で奪われてしまうことが課題でした。
チャットボットを導入した後は10分の1にまで問い合わせが減少し、他の作業に集中できるため、業務効率をあげることができました。
【参考】チャットbotを導入して、「社内ヘルプデスクの電話対応」をやめてみた結果|ITmedia
事例3.三井物産株式会社
総合商社の「三井物産株式会社」は、世界66カ国に137の事業拠点があり、従業員数は6,000人あまり在籍し、幅広い事業を展開しています。
多くの従業員を抱え事業が多岐に渡るため、社内業務の確認事項など問い合わせが多い傾向にあります。
また、知識・知見を含めた担当者の引き継ぎに大きな負担や時間がかかってしまい、業務ルールに対する社員の理解度にばらつきが生じていることが問題に。
そこで
- 業務効率化
- 品質向上
- コスト削減
- サポート業務の自動化
をするためチャットボットを導入しました。
運用開始2ヶ月で、チャットボットのシナリオ構成は改善作業が必要ない水準になり、精度の高い回答が得られるようになりました。
現在では、質問への受付体制が3分の1にまで縮小しています。
さらに担当者の引継ぎ作業も軽減し、マニュアルを集約できたことで効率化できています。
システムの専門知識がなくても操作できるようになったことで、システム運用の属人化の悩みも解決しました。
【参考】わずか2ヶ月で社内の質問受付体制を3分の1に縮小し、業務品質も向上|SupportChatbot
事例4.西武鉄道株式会社
大手私鉄の「西武鉄道」はこれまでも社内向けのヘルプデスク業務の効率化を求め、チャットボットを導入していました。
しかし従来のチャットボットでは、適切な回答がない場合には「回答なし」と返答して終わってしまい利用者が伸びない問題が発生していました。
さらにシステムメンテナンスに専用ツールが必要で、作業が属人化するおそれがあったことから、お問い合わせ対応の見直しを実施します。
チャットボットの導入により全体の3割の問い合わせをチャットボットへ誘導できヘルプデスク業務の効率化ができました。
また適切な回答がなくても、質問内容からの判断で優先度の高い順から回答候補を表示するようにし、利用者数を伸ばすことを実現しています。
メンテナンスはExcelを用いて簡単にできるツールにして、工数や難易度を下げて属人化リスクも低減しました。
【参考】電話問い合わせ数を30%削減し、システムメンテナンス時間も1/8に短縮。「RICOH Chatbot Service」がヘルプデスク業務の全体の効率化を実現|RICOH
事例5.株式会社資生堂
医薬品化粧品大手の「資生堂」は人事部にチャットボットを導入しました。
それまでは、年末調整などイベント時に問い合わせ数が非常に多くなり、1件ずつ回答するのに多大な時間を要していたということです。
また、問い合わせ内容を記録で一元管理していなかったために、社員の問い合わせ内容の全体像を把握できず、改善につなげられないことも課題でした。
資生堂では、チャットボット用のキャラクターを作り親しみを持ってもらうことで、社員への認知の向上に生かしています。
認知が上がり、利用するユーザーが増えたことで、回答データの蓄積と質の向上にも役立っています。
またチャットボットのダッシュボード機能の確認で、社員がどんなことを知りたいのかデータで把握できるようになりました。
【参考】チャットボット導入わずか3か月で問合せ数15%減に成功!グングン効率化が進むAIヘルプデスク運用の秘訣とは?|My-logue
事例6.株式会社神戸製鋼所
製鉄大手の「神戸製鋼所」はリクルータとのコミュニケーション対策にチャットボットを導入しました。
リクルータ制度の利用で、採用担当とのコミュニケーションが不可欠ですが、在宅勤務の増加に伴って問い合わせにはメールやコミュニケーションツールの利用が増えていました。
しかしながら問い合わせ内容を1ヶ所に集約できないことで、質問と回答を体系化できていない課題があります。
チャットボットを導入したことで、リクルータ活動に関するナレッジを体系化でき、効率的な採用活動が実施できました。
さらに従業員からの問い合わせもチャットボットに集約し、マニュアルの改善や制度の見直しなど、幅広い質問データを活用しています。
チャットボットへ気軽に質問できるので、本社と従業員の間のコミュニケーション活性化にも貢献しました。
【参考】リクルータとのコミュニケーションをAIで体系化!株式会社神戸製鋼所の社内チャットボット導入事例|PR TIMES
社内チャットボットの失敗例から学べること
社内チャットボット導入の成功事例をいくつかご紹介しましたが、反対にうまくいかなかった事例も存在します。
チャットボットの導入や運用が失敗に至るにはいくつか典型的な特徴があるので見ていきましょう。
失敗した原因と改善点をそれぞれ紹介します。
課題
失敗した企業にはそれぞれ課題が存在しました。
- チャットボットのシステムの内容と、実際に利用する社員のニーズが合致していない
- ユーザーの問題が解決されない、回答できない場合の対策がない
- 導入自体をゴールにしてしまい運用体制が確立されていないため、いつまでも更新されない、メンテナンスされない
改善案
チャットボット運用チームと、実際に問い合わせを受ける部署の社員、利用するユーザーの社員それぞれが連携できるように、ヒアリング・評価・フィードバック・解析データなどを集めます。
解決されない同じ問題が何回も質問されていたら、それに合わせたシナリオを作り回答できるよう設定します。
回答がない場合には、人への対応を促す表示にしたり、類似度の高い回答を表示させるシステムにする工夫が必要です。
またチャットボットの導入の際は、目的を明確にしましょう。
決してチャットボットの導入が目的ではありません。
更新やメンテナンスは労力が大きいですが、業務効率化をするためには、重要な作業です。
データを確認しながら、改善案を立案し、修正する必要があります。
まとめ:社内向けチャットボットは成功・失敗事例を手本にする!
この記事では社内問い合わせにチャットボットを活用した事例を紹介しました。
チャットボットは気軽に質問できる会話形式のため、社員に親しみやすく活用してもらいましょう。
いくつか挙げた事例を参考に、チャットボットツールの導入の際にどの点を優先すべきかをきちんと検討し、ツールの選定や運用体制の構築をおこないます。
導入したらすぐ完璧にするのを目指すことなく、修正や更新を定期的におこないながら少しずつ内容を確立しましょう。
株式会社コンシェルジュでは、ノーコードAIチャットボット「KUZEN」をご提供しています。
FAQの運用を検討している方は、「お問い合わせ」からご相談ください。