「他社で業務効率化に成功している事例がある」
「自社でも業務効率化を推進しよう」
など、昨今「業務効率化」という言葉をよく耳にしますよね。
何となく理解している業務効率化ですが、具体的なメリットは何があるのでしょうか。
またメリットはよく聞くものの、逆にデメリットや弊害の可能性はないのでしょうか。
業務効率化のメリットやデメリット・弊害について理解しておくことで、誤った手段での失敗を回避し、正しい業務効率化が推進できます。
また常にどんなことに気を付けて検討していくべきなのかについても理解できるでしょう。
効果的な業務の効率化を目指すために、今回は業務効率化のメリットとデメリットについて考えていきます。
目次
業務効率化とは?
そもそも「業務効率化」とはどんなことを指すのか。
「業務効率化」とは仕事を進める上での「ムリ・ムダ・ムラ」をなくし、効率的で円滑な業務を目指すことです。
- 従業員一人ひとりに対して無理な量や内容の業務が振られていないか
- 業務の中に無駄なプロセスや作業はないか
- 一人ひとりの業務の質や方法にムラはないか
など、現在の仕事の進め方を確認し、よりスムーズに手早く進められる方法を検討し実施していくことが業務効率化です。
業務効率化は、いわゆる「働き方改革」に繋がるとも言われ、現在企業の規模を問わず多くの企業が推進しています。
このような業務効率化が推進される背景に、日本が直面する少子高齢化社会が理由の一つで挙げられます。
しっかりと働ける年代の人口の減少は、労働力不足を引き起こし、少ない人数でも仕事をこなさなければならない状態になるのです。
限られた人数で仕事をこなすために、また効率的で生産性の高い業務の為に、何ができるのかを考えて行動することが業務効率化といえるでしょう。
業務効率化と働き方改革の関係については「業務効率化で働き方改革をする!具体例7つと成功事例も併せて解説」にて解説しています。
業務効率化の方法具体例
「業務効率化」は「システムを導入すること」と考えがちですが、それだけではありません。
お金をかけなくてもできることはたくさんあります。
- 手作業でおこなっていた仕事をシステム化・機械化する
- 申請のプロセスを簡略化する
- 定例でおこなっていた会議の回数を減らす
- あまり使われていない資料の定期作成をやめる
- 文書や資料などを電子化する
- バラバラでおこなっていた仕事を集中化してまとめる
- 場所を問わず仕事ができる環境を整備する
業務効率化できる部分は、業界・業種・職種、会社ごとに異なります。
他社事例や一般論は参考になる部分もありますが、必ずしも自社に当てはまるとはいえません。
また費用の面でも、できることとできないことが存在するでしょう。
大事なのは「自社の状況に合った業務効率化を考えること」です。
自社の業務状況をしっかりと観察して、問題や無駄を解決する施策であれば、小さな取り組みであっても、効果的な業務効率化を進められます。
業務効率化をおこなうメリット
基本的な業務効率化によるメリットを押さえておきましょう。
全社にとっての課題ともいえる業務効率化は、多くの会社で推進しているだけあって、もちろん重要なメリットがあります。
従業員の業務時間を削減できる
今までおこなっていた無駄な作業を省く、手作業でおこなっていた仕事を機械化するなどの業務効率化によって従業員の業務時間が削減できます。
場合によっては、システム化や機械化によって、対応する従業員自体が不要になる仕事も。
業務のシステム化によって、余った人材は人間にしかできないよりクリエイティブな仕事を任せられるようになり、人材リソースを無駄なく配置できます。
経費の削減に繋がる
従業員の業務時間が減ると、残業時間の削減に繋がります。
残業時間が削減できると、その分の人件費を削減でき、また事務所の光熱費などの経費削減にも繋がります。
残業の削減以外にも、在宅勤務を本格的に導入すれば、オフィスの縮小も可能になり、家賃やその他の付随の経費も削減できるかもしれません。
今まで当たり前だと思っていた様々な経費を、業務効率化によって削減できる可能性があるでしょう。
従業員のモチベーションが上がる
無駄な残業が減れば、従業員の余暇の時間が増えます。
また在宅勤務やフレキシブルな働き方が実現できれば、従業員のプライベートやライフスタイルの選択の幅も広がるでしょう。
仕事のためにプライベートを諦めたくない従業員も、もちろん多く存在します。
業務効率化によって従業員プライベートをしっかり確保してあげることで、普段の仕事へのやる気も上がるでしょう。
また人間にしか任せることができないクリエイティブな仕事も、人のやる気や想像力を引き出します。
業務に対するモチベーションは、従業員本人のためはもちろん、会社も高いパフォーマンスが期待できるようになるため、重要なメリットの一つです。
業務効率化をおこなうデメリット
業務効率化を目指すことによるメリットは大きいものの、逆にデメリットとなる点は存在しないのでしょうか?
業務効率化を目指すがゆえに、デメリットとなりうる点を考えます。
残業時間が減ることにより従業員の収入が減る
業務効率化の目指す目標に、業務時間の削減が挙げられます。
経営者や上層部から見ると、人件費となる残業代をカットするべく、業務効率化を目指しますが、従業員にとって残業時間は、残業代が出る収入源でもあります。
多くの残業代がカットされればされるほど、従業員の収入も減り、場合によっては生活へのダメージとなることも。
時間的猶予ができることをうれしく感じる従業員もいると思われますが、一方で残業代の減少によって収入が減り、モチベーションが下がってしまう従業員がいる可能性が考えられます。
「残業が減れば従業員は全員うれしい」という固定概念に囚われず、業務効率化によって生じる従業員の不満を解決できるような別の対策もあわせて検討する必要があるかもしれません。
コストパフォーマンスが悪い・費用が大きくかかる場合がある
業務効率化を目指して、システムやAIなどを導入することを検討する場合があるでしょう。
当然、新しいシステムの導入には大きなコストがかかります。
より目的に則したオリジナルのカスタマイズをおこなうと、莫大な費用になってしまうことも。
改めて考えてみると、削減費用が導入コストを回収できるまでに何年もかかってしまう場合も考えられます。
システムの導入を検討するときには、作業効率がどれほど軽減できるかだけでなく、導入費用と削減費用の関係をしっかり検討する必要があります。
また業務効率化をシステム導入ばかりで解決しようとするのではなく、費用をかけなくてもできることはないのか考える視点も大切です。
従業員の自ら考える姿勢が減る可能性がある
業務効率化の効果の一部に「バラついていたやり方を統一」する面があります。
全員が効率的な方法で取り組み、仕事のムラをなくす目的がありますが、強固に決められたやり方の中では自分なりの工夫を怠る従業員が出てくる可能性が考えられます。
「今までおこなっていた仕事のやり方を切り捨てられた」と感じてしまうと、やる気が低下し、より一層考えることをやめてしまうこと従業員も出てくるでしょう。
これまでの仕事の進め方を一概に否定することなく、従業員の気持ちにも配慮した業務効率化を進める必要があります。
また別のクリエイティブな発想を必要とする仕事を任せるなど、従業員が高いモチベーションと想像力を維持できる仕事環境の整備も考える必要があるでしょう。
間違った業務効率化が引き起こす弊害
業務効率化の進め方を誤るとむしろマイナスの結果を引き起こしてしまう可能性も。
中身の伴わない業務効率化によって引き起こされる弊害について考えてみましょう。
従業員の生産性が下がる
業務量を調整せず、残業時間の削減を強いると、同じ仕事量なのにこれまでよりも短い時間でこなさなければならない状況となってしまいます。
これまで残業時間を使いながらこなしていた業務を、通常の業務時間の間におこなうため、事業の根本を担う業務を含めた全体の仕事のクオリティーが下がってしまう可能性があります。
中身の伴わない一方的な施策に従業員のモチベーションは下がってしまい、かえって作業クオリティーが下がる要因となりかねません。
業務時間の削減は、代表的な業務効率化の目標の一つですが、実情が伴っていないと結局実現しきれないまま、あやふやになってしまうことも多々あります。
従業員の工夫だけで業務時間は改善できません。
仕事量を減らすための根本的な対策が重要です。
従業員のモチベーションが下がる
業務効率化によって、従業員が
- 無駄をなくす
- 効率的に仕事をこなす
を目指しすぎるあまり、無駄を省く思考が邪魔をしてしまい、新しいチャレンジに積極的に取り組めないマインドになってしまうかもしれません。
また業務効率化や、それに伴うシステムの導入などに反対し、納得していない従業員がいるにも関わらず、強硬的に進めてしまうと、仕事に対するモチベーションも下がってしまう恐れがあります。
何を実施するにしても伝え方ややり方によっては、これまでの業務が否定されたように感じたり、自分の仕事の存在を軽んじられたように感じてしまったりする可能性もあるでしょう。
一面的な効果ばかりを追いかけ、逆に従業員の苦労が増えてしまう施策では、かえって従業員のストレスは大きくなるばかりです。
業務効率化を目指す過程には、従業員のモチベーションが下がる可能性が随所に存在します。
効果や結果ばかりに目を向けるのではなく、従業員の心理やモチベーションにも配慮した取り組みを検討しなければなりません。
まとめ:業務効率化のメリット・デメリットを考慮して適切な方法を考えよう
時流に乗っただけの業務効率化は、本質をとらえていないことが多く、逆にデメリットの部分が強調されてしまい、失敗に終わってしまうことも珍しくありません。
大切なのは、しっかりとした自社の考察と見合った施策の展開です。
的確な業務効率化は、会社はもちろん従業員にとってもプラスになることは間違いありません。
今回説明したメリットやデメリットを理解しておくことで、業務効率化を進める上で注意しなければならない点も理解できたのではないでしょうか。
形骸的な業務効率化では、かえって従業員のモチベーションを下げてしまう恐れもあります。
会社や経営者・リーダーの目線だけでなく、従業員一人ひとりの立場も考慮しながら、施策を検討していくことを忘れてはいけません。
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