LINE公式アカウントを開設したものの、なかなかうまく運用できていない企業も多いのではないでしょうか。
LINE運用で手間がかかる作業の一つにメッセージ送信作業や返信作業が挙げられます。
そんな手間がかかるメッセージ作業も、様々な手段で自動化が可能です。
メッセージの自動返信を有効に活用し、顧客対応をスムーズにおこなうことで、さらに有効にLINEを活用できるかもしれません。
今回は、自動返信を実装する方法について詳しく解説します。
目次
LINE公式アカウントとは

LINE公式アカウントは、企業や団体、個人が運営するビジネス目的のLINEアカウントです。
LINEをプラットフォームとして、顧客であるユーザーと以下のようなコミュニケ―ションが可能です。
- メッセージ配信
- ユーザーとのチャットや通話
- ポイントカード機能
- 充実した情報配信
- クーポンの配信
上記のような機能を駆使しながら、顧客とのコミュニケーションを深めたり、マーケティング活動や顧客の質問対応をしたりすることが可能です。
日常的なライフラインともいえるLINEは、その他のツールよりも、顧客にとって親しみやすく使いやすいツールであるともいえ、ビジネスとしての活用が業種・業界を問わず広まっています。
LINEで自動返信プログラムを実装する方法

LINEで自動返信を実装するにも、いくつかの方法が考えられます。
費用や機能はもちろん、かかる手間や人材など、それぞれ必要なリソースも異なるため、自社の状況と求める機能レベルに合わせて検討しましょう。
LINEの基本機能を活用する
LINE公式アカウントの基本機能の中に自動返信をおこなう機能があり、これを利用すれば手早く自動返信を実装できます。
LINEに搭載されている自動返信の機能は、以下の二つがあります。
ユーザーから送られてきたメッセージに含まれるキーワードを選別し、そのキーワードに合った事前に設定されたメッセージを送付する。事前にキーワードとそれに対応するメッセージを設定する必要がある。
ユーザーから送られてくるメッセージをAIが自動で判別し、登録されているサービス情報などの基本情報を基に、メッセージを選んで送付する。事前にメッセージやキーワードを設定する必要はなく、登録されているプロフィールを基にメッセージが自動生成されているので、調整や確認のみで利用を開始できる。
用途に合わせて使い分けが可能な反面、Q&A的な使用方法に限られるので、より細かいニーズに的確に対応するには別の方法を検討する必要があります。
自作プログラムを実装する
LINEのディベロッパー機能の一つであるMessaging APIを活用すれば、自作のプログラミングによって、自動返信機能を追加できます。
LINEの基本機能を活用するよりも、自動ボットや予約受注など、自社の求めるニーズに比較的フレキシブルに対応した機能を実装できます。
プログラミングにあたっては、Python(パイソン)などのプログラミング言語の知識が必要ですが、Pythonは、比較的扱いやすいプログラミング言語でもあるため、学習障壁は低いともいえるでしょう。
Pythonを使ったラインチャットボットの実装方法については、「PythonでLINE運用にチャットボットを導入する方法を解説」でも詳しくご紹介しているので、合わせてご参照ください。
外部ツールと連携する
最近では、LINEの自動返信を簡単に叶えてくれる外部ツールが多数存在します。
初動の為の人的リソースをなかなか確保できない場合や、知識があまりない場合には、外部ツールに頼るも一つの手です。
外部ツールでは、手間なく自動返信メッセージを作成できる準備が整っていたり、トーク内容をわかりやすく分析できる機能があったりもします。
費用はもちろん、搭載されている機能も様々なので、目的に合った外部ツールを選定する必要があります。
LINEの自動返信プログラムの実装でできること

LINEの自動返信プログラムを実装すると具体的な効果として以下のようなことが挙げられます。
365日24時間のユーザー対応
有人では、メッセージを確認できる時間帯の対応に限られてしまいますが、自動返信対応にしておけば、365日24時間対応が可能です。
特に問い合わせは、いつ何時でも発生する可能性も高く、ユーザーとしてもすぐに解決を望む事項です。
自動である程度解決できる環境を整えておくことは、ユーザビリティーの向上や顧客満足度の向上にも繋がるでしょう。
すべてを自動にするのが心配な場合には、営業時間外のみを自動対応とすることも可能です。
自動で予約や注文の受注
予約や注文の受付は時間がかかる対応の一つです。
有人対応でおこなっていると、対応できる人数にも限りがあり、ビジネスチャンスを逃してしまうかもしれません。
予約や注文を自動で対応できるようにしておけば、このような不便が一気に解消します。
前項の通り、24時間365日注文を受注できるようにもなるので、これまで取り逃していたニーズをキャッチすることも可能になります。
定期的な自動メッセージ配信
いわゆるボットとしての機能も実現できます。
決められた日時の定期的なメッセージ送信は、自動化すべき作業ともいえるでしょう。
定期的にメッセージが送られるエンターテインメントとしてはもちろん、リマインダーとしても活用できるので、社内運用としても向いているかもしれません。
ユーザーに合わせたメッセージ配信
外部ツールを使えば、ユーザーをセグメントして、それぞれに合ったメッセージ配信をおこなえます。
既存のLINEの機能でも年齢・性別、居住地域、友だち期間などでセグメント分けしてメッセージ配信することができますが、外部ツールではメッセージや行動履歴からのセグメント可能です。
「この回答を選んだ人にはこのメッセージ」「この購入履歴の人にだけメッセージ送信」など、既存機能よりもさらに細かいグループ分けが可能です。
より個々に合った情報送信やアプローチが可能になり、マーケティングの質も向上します。
LINEの自動返信プログラムにおける注意点

便利なLINEの自動返信プログラムですが、完璧であるともいえません。
運用にあたってはいくつか注意しておくべき点や考慮しておくべき点もあります。
ユーザーの求めた内容が的確に返せない場合がある
あくまで機械が対応するので、精度が高いと言われていても、ユーザーの求めた的確な回答が提供できない場合もあり得ます。
そのことを念頭に置いて運用する必要があります。
自動返信だから丸投げでOKということではなく、ユーザーとのやり取りは注視するようにしましょう。
上手く回答できていない場合には、システムの調整が必要です。
AIを使った自動返信ツールの場合は、多くのデータを蓄積することで回答精度が上がっていくという面もあるので、一定のやり取り回数が必要になるでしょう。
自作の場合は制作や管理に手間がかかる
自作で自動返信機能を追加する場合は、LINEの基本機能を使うにしろ、プログラミングで実装するにしろ、一定の手間がかかります。
プログラミングで実現する場合には、Python(パイソン)などプログラミング言語やLINEのAPIについてなどの知識も必要です。
また出来上がって運用を開始してからも、回答精度を高めるための調整や、不具合が起こった場合の対処も自身でおこなう必要があります。
自作ツールの管理と運用には、ある程度の知識と手間が必要なので、社内における人的リソースの確保が必要でしょう。
トーク内容の分析は必要
自動返信プログラムは運用してから肝心です。
より有効な機能として活用するためには、トークの分析をおこなうべきでしょう。
ユーザーからの質問内容や注文内容をしっかり注視しておくことで、ユーザーのニーズや不満を見つけることができます。
こうした情報をサービス改善や商品企画に活かすことで、よりよい事業活動を目指せるでしょう。
自動返信プログラムは、人手不足を補うだけでなく、こうしたマーケティング的な情報収集としても活用していくべきです。
LINEの自動返信プログラムを実現する外部ツール

自動返信を実装できる外部ツールやシステムを紹介します。
ツールにも機能の違いや特性が異なるので、目的に合わせて選定しましょう。
KUZEN LINK(クウゼンリンク)

株式会社コンシェルジュが提供するAIチャットボット「KUZEN LINK(クウゼンリンク)」は、ユーザー一人ひとりの行動履歴を解析し、それぞれに合ったコンテンツを自動配信できます。
LINEの既存機能よりもさらに細かくセグメントできるので、ユーザーは自分に合ったメッセージやコンテンツを受け取ることができるので、サービスに対する信頼感や購買意欲が高まりやすいと言えるでしょう。
LINEを活用したマーケティング方法についての分析やアドバイスも、専門チームが支援してくれるので、不慣れな企業でも安心です。
RICOH Chatbot Service

株式会社リコーが提供するAIチャットボットサービス「RICOH Chatbot Service」もLINEとの連携が可能です。
AI(人工知能)が搭載されているので、ユーザーからの問い合わせに対し、高性能な自動回答が可能です。
QandAをエクセルに打ち込み、それを読み込ませるだけで運用を開始できるので、手間なく自動回答を実装できます。
一般の顧客対応としてはもちろん、社内FAQとしての活用も有効でしょう。
SYNCPIT(シンクピット)

「SYNCPIT(シンクピット)」は、エムオーテックス株式会社が提供するバックオフィス特化型のチャットボットサービスです。
社内問い合わせに対する自動返答に特化しており、ビジネスコミュニケーションツール「LINE WORKS」との連携が可能で、LINE内に自動の社内FAQを設置できます。
SYNCPITは、1ユーザーあたり100円~の料金換算なので、規模が大きくない企業も導入しやすいというメリットもあります。
Zeals(ジールス)

株式会社ZEALSが提供する「zeals(ジールス)」は、LINEへの設置が前提となったサービスです。
チャットコミュニケーションを通じて、購買を促すチャットコマースに特化したツールで、LINE内に予約や注文システムを構築できます。
完全報酬型の料金体系で、注文や予約を受注してから料金が発生する体系なので、初期費用が不要な点も大きなメリット。
手っ取り早くLINEの予約システムを構築したい企業には向いているかもしれません。
まとめ:ユーザーのニーズと社内のリソースを考慮して検討しよう

LINEの自動返信を実装するにも、様々な方法があり、導入にあたっての費用的コストや人的コストがそれぞれ大きく異なります。
また自動返信で対応したい内容によっても、選択は変わるでしょう。
自社のサービスをしっかり向上させ、売り上げに繋げるためには、自動返信を何のために実装したいのかを明確にする必要があります。
これまでの販売実績や顧客状況などを鑑みて、今一度分析した上で、どの方法を選択するのか検討してみましょう。