担当者が変わるたびにパフォーマンスが落ち、同じ説明を繰り返していて、効率が悪いと感じていませんか?
ナレッジ共有を導入すれば、チームや会社全体の生産性を大幅に上げられます。
本記事では、ナレッジ共有のメリット7つのほか、ナレッジ共有を導入して問い合わせ件数を半減させた企業などの事例も紹介します。
目次
ナレッジ共有とは
ナレッジとは、個人が持つビジネスに関する知識やノウハウを指します。
ナレッジは2種類あり、
- 暗黙知
- 形式知
に分類できます。
「暗黙知」は個人的な経験や感覚に基づく知識で、言語化して人への伝達が難しいとされています。
「形式知」は文章化や一般化が容易で、言葉やマニュアルで表現できます。
暗黙知と形式知は別の側面を表しているだけで、知識やノウハウ自体が異なるわけではありません。
ナレッジ共有は「ナレッジマネジメント」とも呼ばれ、暗黙知を形式知に変換して、同じ部署や社内の人と共有できる形にし、あらゆる業務で活用できるよう管理する経営手法です。
ナレッジ共有によって、属人化を防ぎ特定の社員の能力に依存しなくても、生産性を高め成果を出しやすくなります。
「ナレッジ共有」については「ナレッジ共有とは?企業が抱える問題を解決する4つのSTEP」に詳しく説明がありますので参考にしてください。
ナレッジ共有の7つのメリット
それでは、ナレッジ共有で得られるメリットを7つ紹介します。
メリット1.業務効率化
これからの企業にとっては生き残りのために生産性向上が欠かせません。
今ある人員や労働時間で生産性を上げるためには業務効率化が必要です。
ナレッジ共有はその業務効率化に大きく貢献します。
なぜなら、すでに共有されたナレッジを活用すれば、調査や質問にかかる時間や労力が削減できるからです。
これまでの労働力や時間で多くの業務をこなせるため、別の集中すべき業務にリソースを割けます。
メリット2.暗黙知を形式知にして属人化を防止
次のメリットは属人化の防止です。
属人化とは「ある業務を担当している従業員がいないために、その業務を進められなくなる状態」を指します。
近年は働き方が多様化し、人材の流動性が活発になっているため、ある業務を知っていた人が不在になると誰も対応できないという事態が起こりかねません。
あらかじめその業務についての暗黙知を形式知にして、共有しておけばこのような属人化を防止できます。
メリット3.個人、社内のパフォーマンスが共に向上
ナレッジ共有によって、個人のパフォーマンスの向上も見込めます。
個人それぞれのパフォーマンスが上がれば、会社全体でも大きな向上となるでしょう。
特に効果が期待できるナレッジは、優秀な社員やベテラン社員が保有しているナレッジであり、共有できれば会社全体のレベルも上がるでしょう。
メリット4.働き方の多様化に対応可能
近年は働き方が多様化しています。
- 在宅勤務
- リモートワーク
- フレックス制
など一つのオフィス内だけで働く、毎日決まった時間に働く囚われから解放する働き方が広まっています。
働き方の多様化は、社員のためを考えてで、大変望ましい流れですが、仕事を進める上では弊害になる場合もあります。
例えば、同じ社内に全員が集う機会が少ないために、これまで近くで気軽に質問できたから解決していたのに、それができなくなるため瞬時の解決が難しく効率が低下してしまうからです。
ナレッジ共有により、不明な点は検索してすぐに調べられるので、業務効率の低下を防げます。
メリット5.成功事例の蓄積
ナレッジには各プロジェクトでの経験を事例として蓄積可能です。
社内の様々なプロジェクトを通して、成功した事例もあれば失敗した事例もあるでしょう。
結果に至った要因を分析し、次のプロジェクトへ活用できます。
これまで気づかなかった要因や改善点を発見して失敗を減らし、成功事例から共通点を見出して成功を増やせます。
メリット6.新しい優秀な人材の育成、教育コストの削減
ナレッジは再現性が高いので、教育する側のスキルや経験とは関係なく、社員のレベルアップを期待できます。
新入社員への研修や、部署異動などで新しく入った人への指導は時間もコストもかかりますが、あらかじめ必要なナレッジを蓄積しておけば繰り返し活用できるので、教育コストを減らし内容のムラも防止できます。
メリット7.社内情報の連携、社内コミュニケーションの活性化
働き方の多様化に伴い、在宅勤務やテレワークの増加で、社内でのコミュニケーション不足が発生しています。
社内コミュニケーションの不足により社員同士の交流が少なくなると、生産性の低下の恐れがあります。
ナレッジの共有でノウハウや業務の括りに関係なく情報がやり取りされるので、チーム間、部署間でのコミュニケーションが活性化するでしょう。
別の視点を持つ他者のナレッジを参照できるので、今まで考えつかなかったようなアイディアが生まれる期待もできます。
ナレッジ共有の成功事例2つ
ナレッジ共有を導入し、成功に至った事例を紹介します。
この事例を参考にナレッジ共有の本質が理解できれば、成功事例とこれまでの結果の差を把握した上でプロジェクトを推進できるでしょう。
事例1.カルビー株式会社
食品製造・販売大手の「カルビー株式会社」では、社内問い合わせの窓口をAIチャットボットへと置き換えました。
これまで社内FAQをデータベースに蓄積はしていたものの、存在を知る人が少なかったり、たどり着けなかったりする場合が多く、あまり利用されていない点が課題でした。
- 社内に様々なツールがあるけれど、いつどのツールを使ったらよいか分からない
- どうやって申請したらよいか分からない
などの質問がITヘルプデスクに多く寄せられていたそうです。
そこで、人が回答していた社内の問い合わせ対応をチャットボットに置き換え、もったいない時間の削減に取り組みました。
AIチャットボットは会話フローを組めるシナリオ型にし、複雑な質問にも対応できるよう社内のナレッジを学習させ、コストがかかってもきちんと答えられる内容を選択しました。
その結果、ITヘルプデスクでの対応時間の削減に成功しています。
【参考】社内のよくある質問を人からAIチャットボットで対応時間を削減|kuzen
事例2.花王株式会社
日用品・衛生用品製造・販売の「花王株式会社」の社内サポート窓口であるサービスデスクでは、花王グループ全体での共通システムやサービスの企画・運営の担当をしています。
情報システム部門での「パソコン・Office」「スマートフォン」「ウイルス対策」など、会計や人事などでもアプリケーション関連のサポート窓口を特性に応じて個別に設置しているため、それぞれのリソースやコストを多く必要としていました。
そこでナレッジ共有システムを活用した外注化をおこない、効率化を進めています。
利用者からの問い合わせをナレッジとして集約して構造化すると同時に、利用者にとって有益な情報をFAQとして展開するというサイクルを作り上げています。
これらの施策の効果として、自己解決の機会が拡大し、問い合わせが半年で半減する窓口もありました。
在宅勤務が実施された際には、会社のシステムアクセスに関する問い合わせが急増すると予想されましたが、ナレッジ共有を実施していたおかげで問い合わせ件数を抑えられそうです。
ナレッジ共有システムを使った外注化が成果を上げたため、今後も社内窓口の統合とナレッジ共有を進めていく予定です。
【参考】サービスデスクにおけるナレッジを集約・構造化・統合し、自己解決を実現する汎用基盤として活用|日本ビジネスシステムズ株式会社
ナレッジ共有のメリットを最大限活かす3つのポイント
次に、ナレッジ共有のメリットを最大限活かすためのポイントを3つ説明いたします。
ポイント1.目的やメリットを社員に周知
ナレッジ共有の仕組みは使われてこそ効果を発揮するので、ナレッジ共有する目的やメリットの周知が肝心です。
目的は社内や部内の課題の解決です。
課題は、
- 属人化が起こっている
- 資料が見つからない
などがあります。
メリットは、この記事で取り上げた「7つのメリット」を中心に探してみてください。
ナレッジ共有の目的やメリットを周知し、社員の利用のモチベーションを高めましょう。
ポイント2.共有のハードルや作成の手間をなるべく減らす
ナレッジは、多くの人に使われてこそ力を発揮します。
そのためには作成や共有のハードルや手間を極力減らし、誰にでも簡単に使えるようにしなければなりません。
ナレッジ共有を導入する場合は、専門的なITの知識が必要なくても操作できるツールを選びましょう。
また、共有のハードルを低くすることも大切です。
「どんな内容をどこに共有すればよいか分からない」、「間違っていたらどうしよう」と共有をためらう人が多いと、ナレッジは蓄積されません。
- テンプレートを作成しておく
- ナレッジにするルールを設定しておく
- 共有方法や場所は明確に
など、共有のハードルを下げられるよう対策をしましょう。
ポイント3.習慣化させる
ナレッジツールを導入し、一度作ってしまったらそこで終わりではありません。
ナレッジの定期的な更新や見直しを通して、常に新鮮な内容にしておきましょう。
古いナレッジがずっと蓄積された状態であれば、間違った情報のまま伝わる恐れがありますし、間違った情報を使ったために失敗したら二度と使ってもらえなくなるかもしれません。
- 更新ルールを設定する
- 積極的にナレッジ共有した社員を評価する
- 利用を促す周知を定期的におこなう
などの対策の実施が重要です。
ナレッジ共有ツール選び方
ナレッジ共有システムは一からの自前での構築は難しいため、ナレッジ共有ツールの導入が一般的です。
選び方のポイントは、
- 使いやすさ、操作性
- セキュリティ対策が万全か
- 導入、運用コストと予算との兼ね合い
です。
社員の中にはITリテラシーがそれほど高くない人もいるため、使いやすくシンプルな操作性のツールを選ぶことが大切です。
ナレッジは機密情報を多く扱う場合もあるので、セキュリティ要件を満たすかもぜひチェックしてみてください。
導入には予算との兼ね合いもありますので、機能の有無やサポートの有無を見比べながら、予算に応じたツールを選んでみてくださいね。
ツールの導入については、「ナレッジ共有ツールおすすめ16選を選び方と併せて目的別に紹介」で詳しく解説していきます。
ナレッジ共有の導入手順
ナレッジ共有ツールの導入は、
- 属人化したナレッジや、散在した情報を洗い出す
- ナレッジを文章化する
- 必要なナレッジを一箇所に蓄積
という手順で進めます。
共有場所が明確でないため、本当はナレッジがあったとしても、散在して管理されているため、何がナレッジとして残されているか、どこで管理されているか分からない状態です。
属人化したナレッジやナレッジの管理状態を洗い出した上で、共有しやすい文章にしていきます。
ナレッジ共有ツールを使って作成や管理をすると、簡単で手間もかかりません。
最後に、ナレッジを一箇所にまとめましょう。
バラバラに管理されては、どこに必要なナレッジがあるか分からず、活用されなくなるからです。
カテゴリやタグ機能を使いながら分かりやすく分類し、一箇所にまとめて管理しましょう。
ツールによる共有の導入は、「ナレッジ共有ツールおすすめ16選を選び方と併せて目的別に紹介」に詳しく説明があるので参考にしてください。
まとめ:ナレッジ共有のメリットを最大限活かすためにしっかり理解しよう!
この記事ではナレッジ共有のメリットを7つ紹介しました。
自社の状況と照らし合わせて、最大限にナレッジ共有を活用できます。
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