昨今、ビジネスシーンでよく聞く「業務効率化」。
「業務効率化」とは一体どんなことを指すのか、また実際に自社で活かせるアイデアにはどんなものがあるのか解説します。
目次
業務効率化とは?
業務効率化とは、
- 従業員一人ひとりに対しムリな量の仕事が任されている
- 業務フローの中にムダなプロセスや作業がある
- 作業担当者それぞれの仕事の質にムラがある
というような、仕事における「ムリ・ムダ・ムラ」を極力省き、効率的に業務がおこなえる環境を整えていくことです。
現代では、「働き方改革」と合わせて社会的に求められている活動の一つともいえます。
”業務効率化”と一口にいってもそのアプローチ方法は様々です。
業務を見直し、無駄な仕事や重複している仕事は省いたり、会議の回数を見直したりすることは、今すぐにでも着手できますね。
予算をかけて新しいシステムを導入したり、外注を活用したりすることも効果的ですし、企業全体でワークライフバランスを意識して、業務時間の削減を目指すことも業務効率化の一部です。
本質的な業務効率化には個人の意識も重要で、1人1人がショートカットキーやアプリを駆使することも業務効率化に繋がります。
しっかりと効果を上げられる業務効率化を目指すなら、それぞれのかけられるリソースや企業の事情に合わせながら取り組むことが重要です。
業務効率化が求められる背景
業務効率化が求められている背景として、日本の社会が抱える少子高齢化と労働力不足の問題が挙げられます。
現在の日本は、少子高齢化社会が進んでおり、働ける世代の人口が年々減少しています。
働き手が少なくなっていく中でも、これまでと同じ、またはそれ以上の成果を挙げるために、生産性の向上が求められているのです。
業務効率化は、より短時間で業務を進めることが主な目的となっており、これが生産性の向上に繋がります。
また従業員のライフスタイルや価値観も多様化しており、”ライフワークバランス”や”働き方改革”の概念が叫ばれている現状も背景の一つでしょう。
業務効率化は、仕事の取組み方を考え直す面もあるため、このような課題にも同時にアプローチができるのです。
業務効率化を進めるメリット
社会的にも前向きな実行を求められている業務効率化ですが、取り組むことによる実質的メリットはなんなのでしょうか。
業務効率化で得られるメリットを把握しておくことで、目的意識も高まります。
業務効率化のメリットについては、「業務効率化を進めるメリットは?デメリットや弊害についても解説」でも、さらに詳しく解説しています。
業務時間を削減できる
無駄な作業を省き、時間のかかる作業を自動化するなどの業務効率化を進めることによって、従業員の作業負荷や作業時間を削減できます。
業務時間の削減は、残業時間の削減に繋がるのはもちろん、業務時間内でも手の空く時間を捻出することにも繋がります。
業務効率化によって手の空いた従業員は、他の仕事ができるようになったり、新しい仕事に手を付けられたりと、別のメリットもあるでしょう。
このような業務時間の削減は、生産性の向上にも繋がります。
従業員のライフワークバランスが整う
前述の通り、業務時間の削減は残業時間の削減に繋がるので、残業過多になっていた場合には、その状況が改善されます。
また在宅ワークや仕事のオンライン化を進め、時間や場所に制限されない働き方を整えることで、よりフレキシブルな働き方ができるようになります。
残業が少なく、フレキシブルに働ける環境は、従業員のライフワークバランスを整え、会社や仕事に対する満足度も向上するでしょう。
従業員満足度の向上は、生産性の向上や新しいアイデアの創出にも繋がるので、とても重要です。
新しいアイデアが生まれる可能性が高まる
あまり思考を必要としない単純作業や反復作業を人がおこなっている場合も多くあります。
こうした作業を機械化することで、思考力や創造力を必要とする仕事に人的リソースを割けるようになります。
またライフワークバランスの向上により、従業員が心身の健康を整え、余暇を楽しめるようになると、それをきっかけに新しいアイデアが生まれるかもしれません。
業務効率化は単に時間的効率を上げたり、生産性を上げたりするだけでなく、新サービスや新事業の創出にプラスの影響を及ぼすといえるでしょう。
業務効率化を正しく進めるポイント
業務効率化に取り組むにあたって、正しく効率的に進めるために、意識しておきたいポイントがあります。
全社的に意識齟齬がおこらない業務効率化を目指すためにも、注意点やポイントを事前に理解しておく必要があります。
現状をしっかりと分析する
自社に合った業務効率化を考えるにあたって、まずは現状把握が重要です。
社内全体や各部署の現状調査を細かくおこない、どんな問題を抱えているのか、徹底的に調べましょう。
会社全体として調査してみることで、無駄な作業や重複している作業が見つけられるかもしれません。
また従業員から、「もっとこの作業を効率化したい」「この作業が面倒だ」などの意見も得られるかもしれません。
こうした社内の問題や従業員の不満をベースに業務効率化の取り組みを検討していくと効率的に進められます。
全方位を考慮して検討する
一つの問題のみにフォーカスして業務効率化を考えようとすると、反面何か別の弊害がおこっている可能性があります。
- 作業効率を重視したら、サービスの質が低下した
- 会社での業務時間の削減を徹底したら、従業員の隠れた在宅業務時間が増えていた
- サービスをオンライン化したら、既存顧客の志向に合っておらず客離れした
など、業務効率化の反面でマイナスの出来事はおこっている場合は少なくありません。
企業として本来目指すべきことは「業務効率化」ではありません。
”従業員が満足して働けて、お客様からの支持も得られる”という事業活動の核になる部分を阻害していないか、常に意識する必要があります。
運用の確認と修正を怠らない
業務効率化を目指す施策を整えて、運用を開始すれば終わりではありません。
むしろ、実施を開始してからの方が重要ともいえるでしょう。
計画した施策がきちんとおこなわれているか、不備や不具合はないか、実施によって新しい問題が発生していないか、など常に効果測定と現状把握に努めましょう。
また、何か不備や問題が発生していた場合には、都度修正しなくてはなりません。
業務効率化を正しく進め、従業員にしっかりと定着させるためにも、機能的で効果的な取り組みになるよう、常に確認と軌道修正を怠らないように意識する必要があります。
個人一人ひとりの意識を高める
業務効率化は、従業員一人ひとりの意識があってこそ、効果的に推進できるといえるでしょう。
経営者やマネジメント層の独りよがり的な取り組みにならないよう、実際に作業をする従業員の立場になって推進することはもちろん、従業員各々に業務効率化の目的や意味を浸透させることも重要です。
日々の些細な業務一つひとつにおいても、個々人が業務効率化を意識しながら工夫できることが理想の職場です。
業務効率化の具体的な方法
実際に業務効率化を目指すにあったっては、具体的にどのような取り組みが考えられるのでしょうか。
具体的な取り組み方法は、割けるリソースの量によっても異なります。
業務効率化に向けたアプローチとしてどのようなものがあるのか事前に把握しておき、実際の自社の課題やリソースに合わせて選べる環境を整えておきましょう。
業務の見直し・改善
どの企業でもすぐにできることとして、現在の業務の見直しや改善が挙げられます。
- 一人ひとりの業務負荷が大きすぎていないか
- 常態化している無駄な作業や会議はないか
- 一人ひとりの業務の質にバラツキはないか・統一できないか
- 部署やグループを超えて重複している業務はないか
- 資料等がわかりにくく点在していないか
など、効率的に業務がおこなえていないと思われる部分を改善するだけでも、業務効率化に繋がります。
こういった課題が見つかれば、一つひとつ丁寧に解消していきましょう。
自社内でなかなか業務の見直しがスムーズにおこなえない場合には、他社の事例を参考にしてみるのも一つの手です。
「業務効率化の成功事例から学ぶ!ムダと感じる業務と無くすためのポイント」では、無駄な業務の見直しのポイントと他社事例を紹介しています。
システムの導入
定期的な単純作業や反復作業、膨大なデータの処理や管理など、人の手でおこなうには作業負荷が大きいと思われる業務は、機械に任せるという手も考えられます。
特に思考力をあまり必要としない単純作業や、業務効率を上げるための情報整理などは、システム導入による効果が大きく見込まれます。
ただし、どうしても導入による費用や労力のコストが必要となるので、その面も考慮する必要があります。
コストと効果を照らし合わせながら、機械化にメリットがあると感じられる場合には、ぜひ導入を検討してみましょう。
代表的なシステムであるRPAやAIについては、「RPAツールの導入で業務効率化や働き方改革を推進しよう」や「業務効率化のためにできるAIの活用方法は?具体例を解説」で解説しています。
個々によるアプリの活用
一人ひとりの作業効率を一律化させるために、作業効率化アプリやツールの利用を促すことも効果的です。
作業効率は、一人ひとりの知識やスキルに依存する部分が大きいと考えられますが、少しでもこれを改善できるよう便利なツールを活用することも検討してみましょう。
無料のアプリやツールも多いので、気軽に試せる点もメリットです。
- チャットアプリでコミュニケーションの迅速化
- クラウド系アプリで場所を問わず仕事ができる環境の整備
- 作業進捗管理アプリやスケジュール管理アプリでチーム内の作業進捗を可視化
などが考えられます。
個人による業務効率化のコツについては「個人で業務効率化をした事例5つと活用できるツールについて解説」でさらに詳しく解説しています。
フレキシブルな働き方の推進
「オフィスに行かないとこの仕事ができない」「この人に聞かないとわからない内容だ」「時間外だから作業できない」など、場所や時間、人に依存した働き方は作業効率も下がります。
少しでもこの部分を解消することによって、従業員がフレキシブルに働けるだけでなく、顧客に対しても迅速な対応がとれるようになります。
- 資料の電子化・クラウド化
- 情報共有のオンライン化
- システムによる時間外対応の自動化
などをおこなうことで、こういった課題を解消できます。
まとめ:自社の状況にあった業務効率化を考えよう
小さなことから大きなことまで、業務効率化に繋がる取り組みは様々にあります。
大きなお金をかけることばかりではありません。
大切なことは、自社の課題や問題に合った取り組みを従業員全員で意識して取り組むことです。
そのためにも、現状把握を徹底的におこない、具体的な取り組みの方法を知っておくことが重要です。
業務効率化に使える便利なアプリやツールは「業務効率化できるアプリやツール8種類を活用しよう」でも詳しく紹介していますので、あわせて参考にしてみてください。